葬儀は宗派によって意義づけも異なり、読まれるお経や式次第なども違います。それらの葬儀の特徴と流れについて、そのあらましを理解しておけば、遺族になってもいざという時に戸惑わず、会葬者も故人を送る気持ちがより深まることでしょう。
天台宗 ▼真言宗 ▼禅宗(臨済宗/曹洞宗) ▼浄土宗 ▼浄土真宗 ▼日蓮宗 ▼神式(葬場祭)
禅宗(臨済宗/曹洞宗)
式の特徴
禅宗の葬儀では、故人に戎を授け正式の仏弟子にするための「授戒」と、仏の世界に導き入れる「引導」に中心が置かれています。禅宗の葬儀は行と徳を積んで深い境地に達した僧「尊宿」の葬儀法と、修行中に亡くなり尊宿までに至らなかった「亡僧」の葬儀法の2種に分けられ、在家は後者の葬儀法に準じています。臨済宗と曹洞宗は儀礼の細部に違いがあり、地方ごとの習俗でも違ってきます。

■臨済宗
[臨終・通夜](遺族)
枕経のことを「枕経諷経(ふぎん)」といい、「観音経(かんのうぎょう)」「大悲心陀羅尼(だいひしんだらに)」を読誦した後、和讃などが唱えられます。「諷経」とは声を揃えて経文を読むことです。
通夜では「通夜諷経」として「遺教経」「父母恩重経(ぶもおんじゅうきょう)」「宗門安心章(しゅうもんあんじんしょう)」や和讃などが読まれます。
[葬儀式](遺族・会葬者)
禅宗の葬儀は「授戒」から始まります。本来、僧の葬儀法を在家の人に応用する没後作僧(もつごさそう)のための儀礼で、仏弟子になることを意味しています。手順は以下のようになります。
(1)入堂
(2)剃髪(ていはつ) 導師が剃髪用の剃刀を持ち「剃髪の偈」を唱えます
(3)懺悔文(さんげもん) 生涯で犯した小罪を反省し、入滅を願います
(4)三帰戒文(さんきかいもん)  仏陀と教えと修行者に帰依することを誓います
(5)三聚浄戒(さんじゅうじょうかい)、十重禁戒(じゅうじゅうきんかい)
(6)血脈授与 香に薫じて霊前に安置します

授戒作法の後、入龕諷経(にゅうがんふぎん)、龕前念誦(がんぜんねんじゅ)、起龕諷経(きがんふぎん)と続き、引導法語に続きます。入龕諷経は遺体を棺に入れるときの読経だが、現在は入館した状態で行うことがほとんどです。以前は龕前念誦までは自宅で行われる儀礼でした。

(7)入龕諷経  遺体が棺に入るときに行う。「大悲呪」と「回向文(えこうもん)」が唱えられます
(8)龕前念誦  棺を閉ざすときに行う。「大悲呪」と「回向文」が唱えられます
(9)起龕諷経  出棺に際して行う。「大悲呪」と「回向文」が唱えられます
(10)山頭念誦(さんとうねんじゅ) 本来は葬場へ向かう時の儀礼でしたが、現在は次の引導法語までは寺で営まれます。山頭とは葬場のことです。『往生咒(おうじょうしゅ)』が読まれ、ハチや太鼓など鳴らし物が叩かれます
(11)引導法語 導師によって引導法語が唱えられます
[焼香〜出棺](遺族・会葬者)
「観音経」や「大悲心陀羅尼」「楞厳呪(りょうごんしゅ)」などが唱えられ、その間に焼香が行われます。焼香の仕方は、臨済宗は香をおし頂かずに一回のみ香炉にくべます。焼香が終わると導師は回向文を唱え、鈸や太鼓が打ち鳴らされ葬儀が終わり、棺は火葬場へと出発します。

(12)焼香
(13)出棺
■曹洞宗
[臨終・通夜](遺族)
枕経のことを「臨終諷経(ふぎん)」といい、「遺教経(ゆきょうぎょう)」と「舎利礼文(しゃりらいもん)」を唱えます。 通夜では一般的には「修証義(しゅしょうぎ)」や「観音経」「舎利礼文」などが読まれます。和語のお経が中心で、遺族たちに対して世の無常を説く意味合いが強いととらえることができます。
[葬儀式](遺族・会葬者)
本来、正式の仏弟子となる証の戒名と血脈は、在家信者が授戒会(じゅかいえ)という行事に参加して与えられるものでしたが、現代では大多数の人が葬儀の作法として「授戒」を行います。手順は以下のようになります。

(1)入堂
(2)剃髪(ていはつ) 導師が剃刀を持ち「剃髪の偈」を唱えます
(3)懺悔文(さんげもん) ここからが授戒の儀で、生涯で犯した小罪を反省し、入滅を願います
(4)三帰戒文(さんきかいもん)  仏陀と教えと修行者に帰依することを誓います
(5)三聚浄戒(さんじゅうじょうかい)、十重禁戒(じゅうじゅうきんかい) 導師が酒水器に移した法性水を位牌や自らの頭上に注ぐ酒水灌頂を行います
(6)血脈授与 香に薫じて霊前に安置します

以前は自宅での納棺時に「入棺諷経(にゅうかんふぎん)」を行った後、棺を閉ざすときに「龕前念誦(がんぜんねんじゅ)」を行い、翌朝に自宅から葬列が出発する際に「挙龕念誦(こがんねんじゅ)」を行いました。ここまでが前段階で、寺院(葬場)についてから引導法語と山頭念誦(さんとうねんじゅ)が行われました。現在これらすべてが葬儀式に入っています。

(7)入龕諷経  「大悲心陀羅尼(だいひしんだらに)」と「回向文(えこうもん)」が唱えられます
(8)龕前念誦  「十仏名(じゅうぶつみょう)」と「回向文」が唱えられます
(9)挙龕念誦  出棺に際して「大悲心陀羅尼」と「回向文」が唱えられ、鈸や太鼓が打ち鳴らされる鳴り物の儀式「鼓鈸三通(くはつさんつう)」が行われます
(10)引導法語 導師が松明を模した法炬(ほうこ)で円を描いて故人を仏世界に導いた後、払子(ほっす)に持ち替えて、引導法語が唱えられます
(11)山頭念誦(さんとうねんじゅ) 山頭とは葬場のことで本来は葬場へ向かう際の儀礼でした。故人の仏性の覚醒を祈願し「修証義」などが読誦されます。ここで遺族の焼香を行います
[焼香〜出棺](遺族・会葬者)
曹洞宗の焼香の仕方は、右手で香をつまんだ後、両手で額に押し頂き、香炉に投じます。続いて二回目には少量を押し頂かずに香炉にくべます。参列者が多数の場合は一回で済ませます。焼香が終わると、導師は回向文を唱え「鼓鈸三通」が行われ葬儀は終わります。

(12)焼香
(13)鼓鈸三通 出棺
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